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誰が設置したのか「勝手橋」…住民多数が利用でも、管理者不明のまま補修されず放置 - 読売新聞

 設置者がわからず、誰が管理するか決まっていない「管理者不明橋」が各地の河川で見つかっている。老朽化や災害による破損も懸念されるが、補修や点検をされないまま放置されている。専門家は「責任があいまいなままだと事故や災害の拡大につながりかねない」と警鐘を鳴らす。(南暁子)

 堺市西区の住宅街を流れる石津川に架かる通称「鶴田橋」(幅2・6メートル、長さ30メートル)。住民が買い物などで利用し、毎日多くの人が徒歩や自転車で行き交うが、管理者が不明のまま、補修されずに放置されている。

 河川法では、橋を架ける場合、河川を管理する自治体の許可が必要で、橋の維持・管理は設置者に義務づけられている。2017年、住民から堺市に改修の要望があったのをきっかけに、石津川を管理する大阪府が調べたところ、1957年に最初の橋が造られたと判明したが、設置主体はわからなかった。67年に府が河川改修に合わせて木製から現在の鋼製に架け替え、管理を堺市に引き継ぐ方針を決めたものの、協議を市に持ちかけないまま棚上げにしてきたという。

 府は2017年に堺市と引き継ぎの交渉を始めたが、市は「河川管理者である府が橋も管理するべきだ」との立場で、どこが管理するか決まっていない。

 橋は架け替えから半世紀が過ぎ、塗装が剥げてさびも目立つ。通院で利用する男性(85)は「大きな地震があれば壊れるのではと心配。行政は早く対応を決めてほしい」と求めた。

 この一件を受け、府が18年度、府管理の河川を調べたところ、管理者不明の橋が424か所見つかった。

 このうち、鶴田橋と同様、府が架け替え、地元市町村に引き継ぐ予定の橋が121か所あった。府はこうした「未引き継ぎ橋」について、日常の目視による点検のほか、府管理の橋で5年に1回実施している「定期点検」に準じた詳細な検査を来年度末までに終える予定だ。だが、それ以外の303か所は目視点検のみにとどめている。

 管理者不明橋は、住民が交通の便のために設置した「勝手橋」が多く、管理不十分で事故が起きたケースもある。

 滋賀県草津市の北川では13年5月、コンクリートパネルを渡した簡易な橋(幅3・7メートル、長さ4メートル)のパネルの隙間に自転車の前輪が落ち、一部を破損した。乗っていた男性にけがはなかったが、川を管理する県に損害賠償を求める民事調停を申し立てる事態となった。県が「今後、より良い管理に努める」と説明して調停は取り下げられたが、これを機に県が全域を調査したところ、2473か所が管理者不明だった。

 県は順次、撤去や地元市町への引き継ぎを進め、今年9月までに約200か所減らした。しかし、残る橋の点検をどう進めるかは未定で、多くは調査時に点検して以降、手つかずの状態という。

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