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真っ暗な闇が広がる海上、サーチライトが何かを捉えた…3歳児を発見した船の乗組員「まさか」 - 読売新聞オンライン

 観光船カズワンが消息を絶った事故で、知床岬の東側海上で東京都葛飾区の加藤七菜子ちゃん(3)を見つけたのは、北海道所属の漁業取締船「海王丸」だった。暗闇に包まれた大海原での発見。乗組員が道職員を通じて取材に応じ、「女の子の方から『見つけてほしい』と訴えていた。そう思えてならない」と振り返った。

 「何かが見える」。事故翌日の24日午後8時55分頃、知床半島先端の知床岬灯台から東に約14・5キロの海上。日没から2時間半がたち、根室海峡を北上した海王丸の辺りは強い風に見舞われ、白波が立っていた。10メートル先の 水面みなも にあてていたサーチライトが何かを捉えた。

 「まさか」。双眼鏡を目にあてると、レンズに映ったのは、救命胴衣をつけていない状態で浮いていた七菜子ちゃんだった。

 2010年9月に進水した海王丸は全長55メートル、306トン。4隻ある道所属の漁業取締船のうちの1隻で、普段は密漁の取り締まりなどにあたる。海上保安庁に加え、地元の漁船なども総動員して行われている捜索に、24日から加わった。

 同日午前9時半に釧路港(釧路市)から、船員16人を乗せて出港。午後7時半頃に知床岬付近に到着した。海面をサーチライトを左右に振って照らし、通常の見張り要員の倍の6人で目をこらしながら、時速約10キロで進んだ。

 七菜子ちゃんはベージュ色のパーカ姿で、うつぶせ状態だった。連絡を受けた海上保安庁の船が午後11時10分、救出した。

 真っ暗な闇が広がる夜の海上では、サーチライトを使っているとはいえ、3歳の子供の小さな体を見つけるのは困難だ。乗組員は「場所や捜索のタイミングがうまく合致したから発見できた」と語る。

 カズワンには、七菜子ちゃんの両親も一緒に乗っていたとみられる。第1管区海上保安本部からは30日朝の時点で、行方が確認されたとの発表はない。

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