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【主張】H3ロケット 自省し再打ち上げを急げ - 産経ニュース

定刻に点火されたが、最新鋭の機体は微動だにしなかった。

鹿児島県の種子島宇宙センターで行われた大型ロケット「H3」初号機の打ち上げは、不成功に終わった。

米欧をはじめとする主要国間では、月面探査の再開や宇宙ビジネスの拡大に向けての技術開発競争が激化している。H3はその一角に食い込む使命を帯びていただけに、残念な打ち上げ中止だ。

しかし機体にも、搭載されていた先進光学衛星「だいち3号」にも損傷はない。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業には、徹底した原因解明を速やかに進めてもらいたい。

H3の最大の特長は、打ち上げコストの大幅削減だ。現在の主力機H2Aは100億円を要するが、その半分になっている。機体に組み込まれる大量の電子部品やバルブ類を宇宙用の特注品から、自動車用などの民生品に変更したことなどの効果が大きい。

米国の企業家、イーロン・マスク氏が創業した米スペースXの大型ロケット「ファルコン9」は1回約60億円で多数回の打ち上げ実績を積んでいる。日本が宇宙ビジネスで米欧に伍(ご)するには、価格を抑えたH3の存在が必要だ。再打ち上げでの成功を期待する。

だが、最近のJAXAについては気がかりなこともある。昨年10月には小型固体燃料ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げに失敗している。また、古川聡宇宙飛行士が責任者を務めた医学研究では、データ改竄(かいざん)などの問題が発覚している。巨大組織に緩みが起きているとすれば大変だ。

宇宙開発力は、一国の総合的な科学技術力の水準を示す指標である。冷戦時代の米ソが、激しくしのぎを削ったのも、その威信をかけてのことである。

現在は月面有人探査を視野に、米中間での競争が熱気を帯びている。その渦中に日本もあることを忘れてはならない。

90年代の終盤頃まで、日本の宇宙開発力は中国の半歩先を進んでいたが、今や抜き去られ、大きく水をあけられている。

H3は、そうした遅れを取り戻すべく、国産大型ロケットとして約30年ぶりに新規開発された切り札だ。出だしで、つまずいてしまったが、すぐれた可能性を備えている。その大輪の能力開花は、開発陣の責務である。

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