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ヒバクシャ・坪井直さん「核廃絶へ、大いなる一歩」 核兵器禁止条約発効へ - 毎日新聞 - 毎日新聞

坪井直さん=広島市中区で2018年4月5日午後2時21分、木葉健二撮影

 米軍による原爆投下から75年、国際社会が「核なき世界」の実現に向けて動き出した。核兵器禁止条約の批准国・地域が発効に必要な50に達し、被爆地の広島・長崎では「大きな一歩だ」と喜びの声が広がった。一方、核保有国や、米国の「核の傘」に依存する日本の政府は条約に参加しない意向を示しており、核兵器廃絶を心から願う被爆者たちは、全ての国に批准するよう訴え続ける。

 「『ついに! 良かった』との大きな興奮を覚えている。長年の悲願である核兵器の禁止・廃絶を具体化する、大いなる一歩であることは間違いない」。広島県原爆被害者団体協議会(広島県被団協)理事長で、核兵器禁止条約の早期発効を求める「ヒバクシャ国際署名」呼びかけ人の坪井直さん(95)=広島市西区=は、今の気持ちをそう表現した。

 広島工業専門学校(現広島大)に通っていた20歳の時、爆心地から1・2キロ離れた路上で被爆。全身に大やけどを負い、約40日間、意識不明になった。数学の教員として中学校の教壇に立った戦後は、自ら「ピカドン先生」と名乗って被爆体験を生徒たちに語り、定年退職後に被爆者運動に加わった。がんで入退院を繰り返しながら、体験を伝えるため20回以上海外を訪れ、「核なき世界」の実現を訴えてきた。

 2016年5月には、原爆を投下した米国の現職首脳として初めて広島を訪れたオバマ前大統領と平和記念公園で面会した。笑顔で握手を交わし、「(原爆投下は)人類の間違ったことの一つ。それを乗り越えて我々は未来に行かにゃいけん」と語りかけた。翌17年7月に核兵器禁止条約が国連で採択された頃からは、高齢と病気のため公の場に姿を見せることは少なくなったが、カナダ在住のサーロー節子さん(88)ら国内外の被爆者とともに「ヒバクシャ国際署名」の呼びかけ人として1261万筆超を集め、条約の早期発効に道筋をつけた。

 坪井さんは「喜びと同時に『ようやくここまでか』との複雑な思いがあるのも事実だ。長い道のりであった」と振り返りつつ、核保有国や日本が批准していないことを念頭にこう続けた。「これからも険しい道が続くのかもしれないが、忌むべき兵器を世の中から無くすよう諦めずに進んでいきたい」

 一方、もう一つの広島県被団協の理事長、佐久間邦彦さん(76)=広島市西区=も「悲願である核兵器のない世界に向けた重要な一歩。(条約不参加を表明した)日本政府の態度は人々の願いに背くもので、核兵器のない世界の実現、核被害者への援助と支援の強化に向けて努力を続けたい」とコメントした。【小山美砂】

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