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米カリフォルニアの春節イベントの銃撃、死者11人に 容疑者の自宅から武器 - BBCニュース

Police at the scene of the attack

画像提供, Getty Images

アメリカ西部カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のダンスホールで21日夜、陰暦の正月(春節)を祝うイベント中に男性が銃を発砲した事件で、負傷して治療中だった1人の死亡が23日に発表された。これで死者は11人となった。容疑者とみられる男性は事件発生の約12時間後、現場から約50キロの駐車場に止めてあった白いバンの中で死んでいるのが見つかった。

この事件では10人が負傷し、病院で治療を受けていた。ロサンゼルスの病院当局は23日、銃撃され搬送された被害者のうちの1人が「広範な負傷」により死亡したと明らかにした。

これで、この事件の死者は11人、負傷者は9人となった。検視官事務所は、亡くなった65歳、63歳、57歳の女性3人と、68歳の男性の身元を明らかにした。

ほかの死者は全員50~70代とされる。

身元が発表されたミ・ナンさん(65)の家族は、ナンさんが事件があったダンスホールの常連だったとした。

ロサンゼルス郡のロバート・ルーナ保安官は23日の記者会見で、フー・キャン・トラン容疑者(72)の自宅を捜索したところ、大口径のライフルや大量の弾薬、「容疑者が銃の消音装置を自分で作っていたと思わせる道具」が見つかったと述べた。

また、容疑者には「限られた犯罪歴」しかなく、1990年に銃器の不法所持で逮捕された記録が残っているとした。

警察によると、発砲事件は、ロサンゼルスの東約11キロにあるモントレーパークの市街地にある「スター・ボールルーム・ダンス・スタジオ」で、21日午後10時(日本時間22日午後3時)過ぎに発生した。

警察が午後10時22分ごろに現場に到着すると、ダンスホールから大勢が「悲鳴を上げながら次々と出てきていた」という。

警察は23日、現場で42個の薬きょうが見つかったと明らかにした。少なくとも42発が発砲されたとみられる。犯行には、半自動小銃Mac-10に「改造」を加えたものが使われたと説明した。

また、犠牲者の1人はダンスホール前の車中で発見されたとした。この人が、容疑者がダンスホールに入る前に撃たれたのかは不明。

モントレーパークは多くのアジア系住民が暮らしている。事件があったダンスホールには当時、大勢が集まっていた。

ルーナ保安官は22日の記者会見で、発砲事件を起こしたとみられる男性をアジア系のトラン容疑者と特定した。

保安官は容疑者について、同州トランスの駐車場で、地元警官らがバンを包囲する中、車内で銃で自殺したとした。単独犯だったとみられるという。

Crime spot

犯行の動機は明らかになっていない。保安官は22日の会見で、容疑者の精神状態や犯罪歴、当局が「見逃していた」ものがなかったかなどを調べていると述べた。

保安官はまた、容疑者が発砲事件を起こした後、近郊のアルハンブラにあるダンスホールにも行っていたことから、さらに多くの人を殺すつもりだったとようだと話した。アルハンブラのダンスホールでは、「勇敢な」地域住民が容疑者から武器を奪い、容疑者は逃走したという。

保安官によると、容疑者が運転していたバンには、盗まれたとみられるナンバープレートが付けられていた。

保安官は、バンの中から半自動小銃など複数の銃を押収したと述べた。うち1丁はカリフォルニア州での所有が合法でない可能性があるという。犯行に複数の銃が使われたかは、まだ不明だとした。

保安官はまた、容疑者の自殺については目撃者に聴き取りをしており、当時の状況が明確になるには数日かかるとの見通しを示した。

モントレーパークの元市長、ジュディー・チュー連邦下院議員(カリフォルニア州選出)はBBCに対して、容疑者は熱心なダンス愛好者で、周囲に無料レッスンを提供していたと話した。さらに、妻の踊り方に非常に批判的で、2005年に離婚しているとも述べた。

州最大規模の祝祭のさなかに

発砲事件のあったモントレーパークの中心部は事件があった21日、赤いちょうちんや幕などの春節の飾り付けがされていた。

春節の祝祭はカリフォルニア州で最大の行事の1つで、この日も数万人が集まった。

祝賀行事は2日間の予定だったが、当局は翌22日の行事を取りやめた。現場付近には多数の警官が配置され、一帯の大部分を封鎖した。

ロサンゼルスの中国商工会議所のチェスター・チョン会長は、今回の事件で地域社会は言葉を失っていると、BBCの取材に話した。

「このようなことが起きてはならない」

事件発生時に現場付近にいた人たちは、花火の音がしたのかと思ったと話した。トニー・ライさん(35)は、「春節と関係があるんだろうと思っていた」とAP通信に述べた。

目撃者の1人は、自分のレストランに3人が駆け込んできて、機関銃を持った男性がいるからドアに鍵をかけるよう言ったと話した。

ソーシャルメディアに投稿された映像には、現場に駆け付けた警官や消防士が、被害者に対応している様子が映っている。

「現状はうまくいっていない」

この日の事件は、カリフォルニア州の現代史上、最悪の発砲事件の1つとなった。最も死者が多かったのは1984年にサンディエゴ近郊のサンイシドロのマクドナルドで起きたもので、21人が銃で殺害された。

カマラ・ハリス副大統領は、今回の事件を受け、「無謀な」銃による暴力を「終わらせなくてはならない」と述べた。

ハリス氏は副大統領就任前、カリフォルニア州の地区検事と司法長官を経て、同州選出の上院議員だった。

一方、ルーナ保安官は会見で、「カリフォルニア州は国内で最も厳しい銃規制のある州だ。(中略)全国各地の状況を調べ、何がうまくいき、何がうまくいっていないか検証する必要がある」と述べ、こう付け加えた。

「明らかなのは、現状はうまくいっていないということだ」

アメリカでは21日、22日の週末にかけてほかにもルイジアナ州、ミシシッピー州、イリノイ州、ニューヨーク州の各地で発砲事件が相次ぎ、多数の死傷者が出ている。

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