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ハバナ症候群、「電磁波」が原因か 米専門家委が報告 - BBCニュース

ゴードン・コレラ安全保障担当編集委員

Havana embassy

画像提供, Getty Images

アメリカの情報機関の専門家委員会は2日、多くの米外交官が見舞われている「ハバナ症候群」の一部症例について、電磁波によって「説得力のある説明」がつくと発表した。同症候群をめぐっては、何らかの機器や精神的なものが関係している可能性について、議論が巻き起こっている。

専門家委員会は今回、一連の症状は「本物で否定しがたい」ものだとした上で、外部要因によって引き起こされた可能性があると指摘した。

一方で、誰が背後にいると考えられるのかには踏み込んでいない。

ハバナ症候群は、世界各地で勤務する米外交官が訴えている神経系の症状。2016~2017年に、キューバの首都ハバナのアメリカ大使館職員に最初にみられたことから、「ハバナ症候群」と呼ばれている。

当初は、アメリカ政府内でもその存在が否定されてきたが、2021年以降、政府はこの症状を深刻にとらえるようになり、外交官などに報告を促していた。これまでに、各地から少なくとも1000件もの報告が寄せられているという。

米中央情報局(CIA)は今年1月、外国勢力による攻撃である証拠はなく、多くの症例はストレスや自然的な要因で説明できるとの見解を示した。その一方で、説明できない症例も数多く残っていると認めていた。

環境や健康では説明できず

今回の専門家委員会の調査では、ある特定の症状を訴えているグループ(人数は公表されていない)に注目し、1000件以上の極秘文書や証言を精査した。

その結果、このグループの症例は環境や健康状態からは説明できず、何らかの外的要因や機器が原因の可能性があることが分かった。情報当局の調査関係者からは「多くのことが判明した」という声も出ている。

委員会は、ハバナ症候群に特有の4つの「中核的特徴」を特定。その中には、特定の方向、あるいは場所から何かがやって来るような感覚や、圧力を感じたというものもある。

また、症状の原因として信号音、化学的・生物的薬剤、電離放射線、自然的・環境的要因、電波や電磁波の5項目を仮定し、報告された症状を引き起こすような隠された機器がないかを調べた。

報告書によると、精神的・社会的な要因だけでは症状を説明できないが、それらが被害者の抱える問題を悪化させている可能性はあるという。さらに、環境要因や健康状態からも症状を説明できないと指摘した。

また、「この独特の神経・知覚的な症状のいつくかの側面からは、これが機能性神経障害によるものである可能性はみられない」と述べ、「外部からの刺激」が要因であると分析している。

その上で、中核的特徴について、無線周波数帯の電磁波で「説得力のある説明」ができると指摘。ただし、情報には欠落した部分が残っていると認めている。

The US embassy in Paris, where a number of American diplomats reportedly fell sick with 'Havana Syndrome' in January

画像提供, Chesnot

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報告書によると、標準規格ではないアンテナを使えば、人体に影響を及ぼすことができるという。こうした機器は隠されており、それほど大きな電力を要しない。また、空気中を伝わり、建物の壁などにも邪魔されない。

BBCは2021年、このようなマイクロ波がハバナ症候群の原因になっている可能性について取材し、ドキュメンタリーを放映した。

報告書では、どんな機器である可能性があるのか、加害や監視の意図があるのかといった詳細は指摘されていない。また、誰がこうした活動を行っている可能性があるのかも調査範囲に含まれていなかった。

米政府を含む多くの人々が、ロシアの活動かもしれないと考えている。外交の場でも懸念が伝えられているが、この憶測を裏付ける決定的な証拠はない。

委員会はハバナ症候群を説明できるその他の要因として超音波をあげたが、外部から建物内にまで到達しづらく、標的に近づく必要があるという。

また、症状の解明のために、標準化されたデータ収集などさまざまな対策を推奨している。ただし、検出技術などについて書かれた部分は極秘扱いとなっている。

調査を主導したアヴリル・D・ヘインズ国家情報長官とCIAのウィリアム・J・バーンズ長官は共同声明で、今後も真実を追求していくと約束した。

ホワイトハウスの報道官はBBCに対し、報告書の内容を歓迎していると話した。

この報告書の意義は?

今回の報告書によって、ハバナ症候群をめぐる謎は新たな急展開を見せた。

ハバナ症候群の原因については、激しい論争が巻き起こっている。CIAが1月に発表した研究を受けて多くの人が、おそらく敵対行為ではなく、心身の健康状態によるものだと結論付けた。

症例の大半については、これが正しいのかもしれない。

しかし専門家委員会の報告書は、少なくともある特定の症例に関しては、敵対行為によるものの可能性があり、電磁波・マイクロ波が原因と思われると再び指摘した。

その結果、何らかの監視が行われていてそれが被害を及ぼしているのか、それとも兵器が使われているのか、そうであれば誰が関わっているのか――という疑問がわいてくるだろう。

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