欧米などを中心に報告が相次いでいる「サル痘」に東京都内の男性が感染していたことがわかりました。
国内で「サル痘」の感染者が確認されたのは初めてです。
男性はヨーロッパで感染したと見られ、厚生労働省は欧米などに滞在した人で、発疹などの症状がある場合は、念のため医療機関を受診するよう呼びかけています。
感染が確認されたのは東京都内に住む30代の男性です。
厚生労働省によりますと、今月15日以降、けん怠感や発疹、発熱、頭痛の症状が出て、25日に医療機関を受診し、都の検査で「サル痘」への感染が確認されたということです。
国内でサル痘の感染者が確認されたのは初めてです。
現在は、都内の医療機関に入院していて、容体は安定しているということです。
国籍は明らかにしていません。
男性は先月下旬にヨーロッパに渡航し、今月中旬に日本に帰国したということで、現地で「サル痘」の感染者との接触があったということです。
厚生労働省は、男性がヨーロッパで感染したとみて、自治体とともに詳しい感染ルートや国内で接触した人がいないかなどを調べています。
WHO=世界保健機関によりますと、これまでに欧米などの75の国と地域で、1万6000人余りの「サル痘」の感染者が確認され、WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しています。
海外で確認されている感染者の大半は男性で、主に同性間の性交渉を通じて、感染が広がっていると見られるということです。
感染から発症までの「潜伏期間」は通常7日間から14日間とされ、厚生労働省は欧米など「サル痘」の報告が相次いでいる国や地域に滞在した人で、発疹や発熱などの症状がある場合は念のため、かかりつけ医などを受診するよう呼びかけています。
小池知事「感染疑いの場合は医師の診断を直ちに受けてほしい」
![](https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220725/K10013735611_2207252147_0725215048_01_03.jpg)
そのうえで小池知事は、「サル痘は動物から感染するほか人から人へ感染することがある。患者の体液や患部との接触が主な感染ルートになっていて、世界で感染が拡大している」と述べました。
そして、「都の健康安全研究センターや各保健所、医療機関などですでに連携していて、疑い患者が出たら検体の確保や報告などを速やかに行う態勢を構築している。あまり心配しすぎることはないが、手指衛生など感染予防を心がけていただき、感染が疑われるような場合には、医師の診断を直ちに受けてほしい。引き続き、国と連携をとりながら、都として適切に対応していく」と述べました。
専門家「対策徹底すれば感染拡大は最小限に抑えられる」
![](https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220725/K10013735611_2207252147_0725215048_01_04.jpg)
そのうえで「国や行政機関の対応としては、患者の隔離や濃厚接触者の調査、また、濃厚接触者がいる場合は21日間は発症しないかを調べることなどを徹底すれば、感染拡大は最小限に抑えられる。新型コロナウイルスのように飛まつによって簡単に感染するウイルスではないので心配しすぎる必要はないが、患者さんが直接、触れた場所に触れると間接的に感染リスクがあるので、アルコールの消毒などの対策が有効だ」と話しています。
国は治療体制などの整備進める
治療薬については、まだ国内で承認された薬がないため「サル痘」と症状が似た天然痘の薬でアメリカの製薬会社が開発した「テコビリマット」という飲み薬を研究目的として投与できる仕組みを作っています。
EU=ヨーロッパ連合では「サル痘」の薬としても承認されていて、現時点で東京の国立国際医療研究センターなど、4か所の医療機関で投与が受けられるということです。
ワクチンについても「サル痘」に対して、およそ85%の発症予防効果があるとされる天然痘のワクチンの使用を承認するか、今月29日に専門家部会を開いて審議を始めることにしています。
検査については、すべての都道府県の地方衛生研究所で実施できる体制をすでに整備したということです。
検査で陽性となった人がいれば、全国に58か所ある感染症の指定医療機関などで優先的に受け入れるよう自治体に通知していて、感染者の家族など感染したリスクが高い人には毎日、保健所を通じて健康状態を確認することも求めています。
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