Search

岸田首相「旧統一教会との関係把握には限界」 安倍晋三元首相の国葬を巡る国会閉会中審査 - 東京新聞

 衆参両院の議院運営委員会は8日午後、安倍晋三元首相の国葬に関する閉会中審査をそれぞれ開いた。出席した岸田文雄首相は冒頭説明で「国として葬儀を行うことで、我が国は暴力に屈せず、民主主義を守り抜く決意を示す」などと述べ、あらためて開催への理解を求めた。安倍氏と旧統一教会との関係については「本人が亡くなられた今の時点において、実態を十分に把握することは限界がある」と述べた。(デジタル編集部)

故安倍晋三元首相の国葬に関する質疑が行われた衆院議院運営委の閉会中審査

◆岸田首相の冒頭説明

 民主主義の根幹たる選挙が行われている中、安倍元首相が卑劣な暴力により命を落とす事件がありました。安倍元総理に対し衷心より哀悼の誠をささげます。

 安倍元首相は、民主主義の根幹たる国政選挙において、6回にわたり国民の信任を得ながら憲政史上最長の8年8カ月にわたり、内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的外交を主導し、平和秩序に貢献するなど実績を様々な分野で残したこと。諸外国における議会の追悼決議や、公共施設のライトアップをはじめ、各国で様々な形で国全体を巻き込んで敬意と弔意が表明されていること、民主主義の根幹である選挙運動中での非業の死であることなどを踏まえ、安倍元首相の国葬を行うことが適切であると判断し、7月22日、国葬の執行を閣議決定しました。

 国として葬儀を執り行うことで、安倍元首相を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。

 あわせて、各国からの弔意に対し、日本国として礼節を持ってお応えするとともに、国葬の機会に来日される各国要人と集中的に会談を行い、安倍元総理が培われた外交的遺産を、我が国として受け継ぎ発展させる意思を内外に示して参ります。

◆自民 盛山正仁氏

Q 今回の国葬の費用は、過去の内閣と自民党の合同葬などと比べて適切なのか。

岸田首相 参列者数が増加すること、多数の外国要人が参列すること、一般の方が行う献花の準備が必要であることなど、過去と事情も異なる。そういった経費等を加えた上で、中曽根(康弘)元首相の葬儀と比べて5700万円増になっている。それ以外にも、警備費と接遇費はこれまで政府が関わった葬儀でも支出が行われている。準備を進める中で、仮に190の代表団、そのうち接遇が必要な首脳級50の代表団と仮定するとどのくらいになるか示した。(警備費で)8億、(接遇費で)6億という数字だ。過去の様々な行事と比較においても妥当な水準であると考えている。

Q どの程度の警備が必要か、当初から説明があった方が良かったのではないか。

岸田首相 丁寧な説明が必要だったという指摘については謙虚に受け止め、引き続き説明努力に努めていきたい。海外からの弔問の状況は、状況が徐々にわかりつつある中で、できるだけ早く数字を示そうということで仮定の数字を置いた。これから直前に向けてより明らかになっていくので、状況は丁寧に、国民の皆さんに説明をし続けていきたい。

◆立民 泉健太氏

Q そもそも国葬は総理と内閣だけで決められるのか。こうした強引な決定方法に反発が起きている。閣議決定までに三権の長にはかったか。各党に相談したか。

岸田首相 国葬は内閣府設置法および閣議決定を根拠として実施することを決定した。これは間違いなく、行政権に属すると認識をしている。説明が不十分だった、ということについては謙虚に受け止めながら、国民の皆さんの理解を得るために、引き続き丁寧な説明を続けていきたいと考えている。

Q 国権の最高機関の国会に相談なく決めたのは、戦後初めて。法的にも瑕疵がある。選考基準を記した法律はあるか。

岸田首相 指摘のような法律はない。しかし、行政権の範囲内ということで政府として決定した。

Q 佐藤栄作元首相は、当時戦後最長の在任期間で、ノーベル平和賞も受賞しているが国葬ではなかった。これは吉田(茂・元首相)国葬の反省も踏まえて、法律も選考基準もなく、三権の長の了承が必要な国葬はやっぱり難しい。どんな業績があったとしても自民党・内閣は、内閣自民党合同葬を行ってきた。その知恵や深慮遠謀を壊して、今回、国葬を強行しようとしている。

岸田首相 明確な基準がないのではないかというご指摘がありましたが、一つの行為についてどう評価するかは、そのときの情勢によって変わる。同じことを行ったとしても、50年、60年前の国際社会でどう評価されるか。一つの基準を作ったとしても、そうした国際情勢や国内情勢に基づいて判断をしなければならない。よって、その時々、その都度都度、政府が総合的に判断をし、どういった形式をとるのか判断する、これがあるべき姿だと考えている。

Q 旧統一教会問題では、自民党との密接な関係も言われている。自民党と旧統一協会との関係を考えた場合に、安倍元首相が最もキーパーソンだったのではないか。

岸田首相 内閣総理大臣として答弁に立たせていただいている。自民党のありようについて国会の場で自民党総裁として答えることを控えるべきものだと思うが、昨今の諸般の事情を考え、あえて国会の場でお答えする。

 安倍元首相の旧統一教会との関係については、ご本人の当時のさまざまな情勢における判断に基づくものだ。本人が亡くなられた、今の時点において、実態を十分に把握することは限界がある。自民党のありようについて丁寧に国民の皆さんに説明をしなければいけないということで、それぞれの点検結果について、取りまとめを行い、説明責任をしっかり果たしていこうという作業を進めているところだ。社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たない、これが党の基本方針であり、国民の皆さんの信頼回復に努めていきたいと考えている。

Q 安倍元総理がどういうスケジュールで動いていたか、事務所は分かっているはずだ。党の調査ではなぜ安倍事務所を外しているのか。自民党の自治体議員が行政に何かを要請して、旧統一教会系の団体の会合に出ている。この2つ(の調査)を約束してもらえないか。

岸田首相 1点目については、先ほど申し上げたが、具体的な行動の判断、これは当時の本人の判断なので、お亡くなりになった今、確認するには限界があるという認識に立っている。2点目は、まずは党所属の国会議員を対象として取りまとめを行っているが、地方議員についても、今後社会的に問題が指摘される団体との関係を持たないという党の基本方針を徹底していただくということになる。

Q カルト被害防止救済のための法整備が必要だと思わないか。

岸田首相 既に関係省庁に対し、法令から逸脱する行為があれば厳正に対処すること、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に連携して万全を尽くすこと、この2点の指示を出している。まずは指示に基づいた取り組みを進めていきたい。その上で、今の法令の中で何ができるのか、これを最大限追求した上で議論を進めるべき課題だ。

Q 歴代の内閣葬では、自民党が半額負担した。

岸田首相 世界各国の国挙げての弔意を国としてしっかりと受け止めさせていただく際に、国の行事として葬儀を行うことが適切であると判断した。合同葬についても、もちろん国の税金は支出することになる。しかし、何よりも大事なのは国としてどういった形で国際的な弔意を受け止めるのか。日本国民全体に対する弔意に対してどう答えるのか。そのために国葬という形が適切であると判断した。

◆維新 遠藤敬氏

Q 今回の場合、基準がないまま閣議決定し、実施を決めた。難しいことは理解しているが、今後国民の理解を得るために、一定の基準を設ける必要があるのではないか。

岸田首相 その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきた。今後も首相経験者が亡くなった際には、その時々の内閣において、その都度、ふさわしい形が何なのか、判断することになると考えている。今回の国葬実施後に行う検証の結果、予算と数字とも確たるものをしっかり報告しなければいけないし、そうした報告、検証の結果、今後の国葬のあり方について、検討結果を役立てていく姿勢は重要だ。

◆公明 浜地雅一氏

Q 具体的に、外国から日本や日本国民にどのような弔意が寄せられているのか。

岸田首相 バイデン米大統領やエリザベス女王陛下など、各国王族、国家元首、首脳レベルを含め約260の国地域、機関から1700件以上のメッセージが寄せられた。内容は安倍元首相の在任中の功績を評価し、安倍元首相、ご遺族、そして日本国民全体への哀悼を示すものとなっている。哀悼のメッセージ以外にも多くの国で議会の追悼決議が行われている。国際社会から寄せられた数多くの敬意や弔意に対し、日本国として礼節を持って丁寧にお応えするためにも、国の儀式である国葬を行い、海外の要人をお迎えすることが適切だと判断した。

◆国民 浅野哲氏

Q 海外要人が日本を訪れる。高速道路の利用制限、当日予定のスポーツやコンサートなどのイベントは制約するのか。

松野博一官房長官 当日、外国要人の宿泊場所から日本武道館の移動に伴い、首都高や一般道で必要な交通規制が行われる見込みだ。要人の来日の際に、空港から宿泊場所への移動の際に、必要な交通規制が行われる可能性がある。国民の皆さんへの自粛は考えていない。

◆共産 塩川鉄也氏

Q 国民が疑問に思っているのは、統一教会と深い関わりがあった安倍元首相を国葬にすることだ。岸田首相は統一教会との関係を絶つと言っているのに、国葬を行うのは矛盾している。

岸田首相 自民党は政治に対する信頼回復のために関係を絶つべきだと言っている。安倍元首相と当該団体との関係は、本人が亡くなられたので、十分に把握するのは難しい。国葬を考える際には、在任期間、功績、国際的評価、亡くなられた経緯を総合的に判断して、政府として判断した。

Q 安倍元首相を国葬とすることは、旧統一教会の活動を是認することにならないか。

岸田首相 国葬の議論をしている。安倍元首相が憲政史上最長の在任期間を務め、選挙において非業の死を遂げた。こうしたことは前例がない。さまざまな功績を内外が評価しており、特に海外の評価に応えなければならない。国民全体に対する弔意に、日本国としてどう応えるか考え、国葬を行うべきだという判断に至った。

関連キーワード



おすすめ情報

Adblock test (Why?)



Bagikan Berita Ini

0 Response to "岸田首相「旧統一教会との関係把握には限界」 安倍晋三元首相の国葬を巡る国会閉会中審査 - 東京新聞"

Post a Comment

Powered by Blogger.