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北海道電力の泊原子力発電所(北海道泊村)で事故が起きれば生命や身体の安全が脅かされるとして、道内の住民らが北海道電に廃炉や運転差し止めを求めた訴訟の判決で、札幌地裁(谷口哲也裁判長)は31日、「安全性を満たす津波防護施設が存在しない」などとして運転差し止めを命じた。廃炉の請求は棄却した。
泊原発は3基とも運転停止中だ。北電は原子力規制委員会に再稼働を申請し、現在も審査が続いている。今回の判決は確定しない限り効力は発生しない。北電側は「誠に遺憾で、到底承服できない」として控訴する方針を示した。
訴訟では主に、▽防潮堤(16.5メートル)で想定される津波を防げるかどうか▽原発敷地内や周辺海域に活断層があるかどうか――が争われた。
2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故以降、住民らが原発の差し止めなどを求めた訴訟は各地で起こされている。仮処分を含めて原発の再稼働を認めない司法判断はこれまでに8件あった。いずれも確定には至っておらず、高裁レ��ベルでは判断が覆り、再稼働を認めるケースが多い。
泊原発の3基は12年5月までに定期検査で運転を停止した。原発事故を踏まえた新たな規制基準の施行にあわせ、13年7月に原子力規制委に審査を申請したが、原発敷地内の断層の調査などを背景に長期化している。
訴訟は原発事故後の11年11月に起こされた。静岡地裁でも、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の3~5号機を対象に廃炉を求める訴訟が係争中だ。
(嶋崎雄太)
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