飯塚幸三氏側に約1億4600万円の賠償を命令「真摯な謝罪ない」池袋暴走事故の民事訴訟で判決東京地裁：東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

　東京・池袋で2019年4月に起きた乗用車の暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さん（37）ら遺族が、運転していた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三受刑者（92）に計約1億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁（平山馨裁判長）は27日、元院長側に計約1億4600万円の賠償を命じた。
　事故では、飯塚受刑者の車が赤信号の交差点に進入し、自転車で横断歩道を渡っていた松永さんの妻の真菜さん＝当時（31）＝と長女の莉子ちゃん＝同（3）＝をはねて死亡させた。ほかに9人が重軽傷を負った。

　この日の判決では、原告のうち松永拓也さんと莉子ちゃんの祖父母3人の計4人への賠償が認められた。飯塚受刑者が事故当時、ブレーキとアクセルを踏み間違えて制限速度を時速46キロ超えたことや、赤信号の交差点に進入したことなどから「注意義務違反の程度は重大。一方的で重大な過失があった」と指摘した。

　飯塚受刑者の事故後の対応では、刑事裁判の判決まで過失を認めなかったことを「遺族の心情を逆なでする行為」と言及。謝罪については「被害者側が受け入れるに足るだけの真摯な謝罪がされていない」と判断した。

◆刑事裁判では禁錮5年

　飯塚受刑者はブレーキと間違えてアクセルを踏み続け事故を起こしたとして自動車運転処罰法違反（過失致死傷）の罪に問われ、2021年9月に東京地裁で禁錮5年の実刑判決を受けた。公判で「事故原因は車両の欠陥」と無罪を主張していたが、控訴せず刑が確定。その後「証拠や判決文を読み、暴走は私の勘違いによるブレーキとアクセルを間違えた結果だったと理解した」と過失を認めるコメントを公表した。（加藤益丈、福岡範行）