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ガザ南のラファ検問所、再開か注目 一時停戦の情報流れるもイスラエルは否定 - BBC.com

Palestinians with dual citizenship gather outside Rafah border crossing with Egypt in the hope of getting permission to leave Gaza, amid the ongoing Israeli-Palestinian conflict, in Rafah in the southern Gaza Strip October 16, 2023.

画像提供, Reuters

パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの武力衝突のため、イスラエルが完全封鎖したガザから住民が出られず、避難を通告されたガザ北部の住民が南部に押し寄せている状況で16日、ガザ南部からエジプトへと通じるラファ検問所の通過が再開されるのか、それに伴いガザ南部での一時停戦合意がまとまったのか、情報が錯そうした。イスラエル首相府は、一時停戦合意を否定している。

ハマスによる7日朝の攻撃を受けて、イスラエルはガザ地区を完全封鎖した。これでガザ各地で水や食料や燃料が枯渇したうえ、ガザ北部の住民約110万人に対して、ガザ北部へ避難するよう通告。一気に人が押し寄せた南部ハンユニスなどでは、必需品の不足が深刻な状況になっている。

在イスラエルのアメリカ大使館は16日早朝、未確認の報道をもとに、ガザとエジプトを結ぶラファ検問所の通行が午前9時から始まると明らかにした。「状況は流動的で、旅行者がいつまで検問所を通過できるのかは不明」だとしたうえで、「安全だと判断した場合は、ラファ検問所に近づくことも」選択肢だとした。これを受けて、パレスチナ系アメリカ人のラファ通過が認められるのではとの観測から、大勢が検問所の周辺に集まっている。

検問所のエジプト側では、ガザへの人道援助物資を積んだトラックが並んで待機している。

A view of trucks carrying humanitarian aid for Palestinians, as they wait for the re-opening of the Rafah border crossing to enter Gaza, amid the ongoing conflict between Israel and the Palestinian Islamist group Hamas, in the city of Al-Arish, Sinai peninsula, Egypt, October 16, 2023.

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ラファ検問所が再開されるのかどうかについて、BBCのリーズ・ドゥセット主任国際編集委員は、まだ懸案事項が整理されていないようだと説明する。

エジプト側は、検問所スタッフの安全が確保されない限り、通過作業は再開しないとしている。これに対してイスラエルは、ガザに入るすべてのトラックについて、武器を積んでいないか確認する検査が必要だとしている。

これに先立ち一部報道で、ガザ南部で一時的な停戦合意がまとまったとの情報が出たものの、イスラエル首相府はただぢにこれを否定した。

エジプト・カイロの情報筋はBBCに対して、ガザ南部での一時停戦について原則論では合意がまとまっていると話した。しかし、まだ妥結していない難問がいくつか残っている様子だと、ドゥセット編集委員は言う。

map of the region

これに先立ち、パレスチナの保健省は15日、イスラエル軍の空爆でこれまでに2450人のパレスチナ人が死亡し、9200人が負傷したと発表した。イスラエル政府は、ハマスの攻撃によるイスラエル側の死者は1400人を超えたと発表した。こうした中でイスラエル政府は、ガザ南部への給水を再開すると表明。しかし国連は、ガザ地区の全ての病院の備蓄燃料について、あと24時間程度しかもたない見込みだと警告している。

イスラエルは7日、ハマスの奇襲攻撃を受けて報復空爆を開始した。ハマスの攻撃によるイスラエル側の死者は1400人を超え、少なくとも150人が人質になった。

イスラエルによるガザ地区への地上攻撃が近いとされる中、ガザ地区北部への空爆は続いている。

ガザ地区

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Family members and relatives mourn at the funeral of Antonio Macias who was killed during the Hamas attack on a music festival near Raim last weekend

画像提供, Reuters

パレスチナの民間防衛チームの声明によると、空爆を受けてから24時間後に、大勢が複数の建物から助け出された。一方で、がれきの下には1000人以上が取り残されているとしている。

他方、イスラエルは15日、ガザ地区南部への水の供給を再開すると発表した。同国のイスラエル・カッツ・エネルギー相は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相とジョー・バイデン米大統領が、ガザ地区南部の一部への水の供給を再開することで合意したと明らかにした。

これに先立ちイスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は9日、ハマスの攻撃への報復として、ガザ地区を包囲すると発表。ガザ地区への電気や水、食料支援を止めていた。

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こうした中、イスラエル軍はガザとの境界に向けて、部隊や物資の移送を続けている。

イスラエル南部のガザとの境界付近で取材するBBCのジェレミー・ボウエン国際編集長は、ナハル・オズ・キブツ(農業共同体)近くを前進するイスラエル兵や装甲車を確認している。

Israeli military
Israeli military

4つの病院が機能せず

世界保健機関(WHO)は15日、ガザ地区北部の4つの病院が機能していないと発表した。

WHOはまた、ソーシャルメディアに投稿した声明で、イスラエル軍から、ガザ地区にある21の病院に対して避難命令が出ていると付け加えた。

病院に対する「強制避難」命令は国際人道法違反にあたる可能性があると、WHOは指摘した。

「ガザ地区の病院に対する強制避難命令は、弱い立場にある患者の命を直ちに危険にさらし、集中治療や救命手術を必要とする患者にとっては死刑宣告に等しい」と、WHOは強調している。

The scene outside Al-Shifa hospital in Gaza city which is still functioning, but with very few supplies

画像提供, Getty Images

病院の燃料備蓄、あと24時間程度と

国連は、ガザ地区の全ての病院の備蓄燃料について、あと24時間程度しかもたない見込みだと警告している。

「バックアップ用の発電機が停止すれば、何千人もの患者の命が危険にさらされる」と、国連の人道問題調整事務所(OCHA)はウェブサイト上で指摘した。

多くの援助機関は、燃料や水などの人道支援を提供するため、ガザ地区へのアクセスを認めるよう求めている。

ガザで活動する「国境なき医師団」のイギリス系パレスチナ人の外科医、ガッサン・アブ・シッタ氏は先に、勤務先の病院には人を助けるための十分な機材がないと警鐘を鳴らしていた。

「医療品に関していえば、この緊急事態の中で、我々は毎日、1カ月分あるいは1カ月半分の医療品を使っている」と、同医師はBBCに語った。

British Palestinian Surgeon, Prof Ghassan Abu-Sittah

食材用冷蔵庫で遺体を保管

ガザ地区南部ラファでは、遺体安置所が満杯になった病院がある。そこでは、アイスクリームを運ぶ冷蔵トラックの中に遺体が保管されている。

この病院の遺体安置所で働くヤセル・カタブ氏はBBCに対し、「この冷蔵庫は食材用のもので、遺体を運ぶためのものではない」と話した。

「ですが、病院では本当に多くの死者が出ているので、病院の管理担当者が食品工場から冷蔵庫を持ってきて、遺体を保護することに決めた」

「病院はひどい状況だ。死者が多すぎて収容しきれない」

Yasser Khattab says the hospital morgue in Rafah has run out of room to store the bodies

「前例のない人道的大惨事」

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、同機関がガザ地区に人道支援を提供するのはもはや不可能だと述べた。

「この8日間、ガザ地区には一滴の水も、一粒の小麦も、1リットルの燃料も入ってきていない」

ガザ地区南部にあるUNRWAの学校や施設には、大人数が避難を求めている。また、UNRWAのメンバー14人が死亡している。ガザ地区では遺体袋が底を尽きつつある。

「毎時間のようにガザ地区全域から、必死に援助を求める声が寄せられている」

「先週の(ハマスによる)イスラエルへの攻撃は恐ろしいものだった。あの攻撃と、(民間人を)人質に取る行為は国際人道法に対する重大な違反だ。ただ、民間人の殺害に対する答えが、民間人をさらに殺害することではないはずだ」

「ガザ包囲は、今のこのやり方は、集団的処罰以外の何ものでもない」と、ラザリーニ氏は述べた。

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赤十字国際委員会(ICRC)の国連常任オブザーバー、レティシア・クルトワ氏はBBCニュースに対し、「民間人が苦しまないようにすることが、紛争当事者の義務だ。我々はすべての当事者に対し、彼ら(民間人)の生存を助ける物資の供給を一刻も早く再開させることを求める」と述べた。

また、ICRCは現在のエスカレーションに関与する全当事者と話をしているとした。

ICRCは現在、100人以上のチームをガザに派遣している。

「彼らは今も、損傷を受けた水道システムの修復や、休みなく働く医療施設や救急隊員を支援しようとしている。我々も、家を追われた何千人ものための対応策を立てようとしている」

クルトワ氏は、イスラエル軍がガザに侵攻した場合、民間人が市街戦の犠牲になる恐れがあると付け加えた。

A Palestinian man carries a girl hurt by Israeli strikes in Gaza City

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イスラエル、民間人の安全地帯を整えているのか

イスラエル軍は、ガザ地区の北部に住む約110万人に南部へ避難するよう勧告している。

こうした中、イスラエルはガザ地区南部への水の供給を再開した。これは、民間人にとっての安全地帯としての準備が整いつつあることを示しているのかもしれないと、BBCのリーズ・ドゥーセット主任国際担当編集委員は指摘する。

イスラエルのカッツ・エネルギー相は、ガザ地区南部への水の供給再開を決定したことを認めた。

ドゥーセット主任国際担当編集委員はBBCニュースチャンネルで、「これでまたひとつ、落ち着くべき所に落ち着いた」と語った。

イスラエルによる空爆がガザ南部で続く中、今回の早期の兆候は、人々が「行き場を失って逃げまどう」ようにするのではなく、イスラエルが「ガザ地区を分割」し、「ひとつひとつを通過」しようとしていることを示唆しているとした。

そして、「毎時間、このパズルが少しずつ合わさっていくのが見て取れると思う。いまだに多くのピースが欠けていて、その多くが合わない状況ではあるが」と付け加えた。

イスラエルには「ほかに選択肢はない」

イスラエルの元首相、エフード・バラク氏は先週末、BBCラジオ4の番組「ザ・ワールド」で、イスラエルには現段階において、ベンヤミン・ネタニヤフ政権がガザで追及している選択肢以外には事実上、ほかの選択肢はないと述べた。

バラク氏は、イスラエルの戦略について、ハマスの軍事力を確実に「消し去り」、ガザ地区の統治をファタハ率いるパレスチナ自治政府に委ねることが目的だとした。

また、イスラエルは国際法を完全に順守していると強調しつつ、イスラエル国境のハマスの支配を「排除」しなければならないと述べた。

ガザ地区

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