![](https://www.yomiuri.co.jp/media/2023/05/20230531-OYT1I50217-1.jpg?type=ogp)
中学3年だった昨秋。東日本に住む高校1年の男子生徒(15)が異変に気づいたのは、仲良しの女子生徒の一言がきっかけだった。「変な動画が回っているけど、大丈夫?」
他人に見られたら恥ずかしい自身の性的な動画。同級生にスマートフォンで撮影されたものが、通っていた私立中から貸与されたタブレット型端末「iPad(アイパッド)」で共有されたというのだ。
「異性の友達にまで見られてしまった」と追い詰められた男子生徒。昨年末、遺書のつもりでスマホにこう打ち込んだ。「14年間、育ててくれてありがとう」
嫌がらせが始まったのは中2の頃だった。蹴られたり、物を隠されたり。中学で使うアイパッドのチャットでは、知らぬ間に、自分の名字を入れた「撲滅委員会」と題するグループも作られていた。
SNSで自分と同じような考えの人に囲まれるうちに過激な言動につながる「エコーチェンバー(反響室)」という現象。限られたメンバーで行動する子どもの間では、特に起きやすいとされる。
ネットでの嫌がらせはアイパッドにとどまらなかった。動画は、生徒個人のLINE(ライン)で、中1の時のクラスメートや、自分が所属していない部活のメンバーたちにも回された。〈い○めとか笑わせんな〉〈はよ
学校側は昨秋、動画が少なくとも十数人に拡散したことを確認。関係した生徒らを呼び出して消去するよう指導した。「できる限りのことをしたが、スマホの中身まで全てチェックできない」とする。
「一度、出回った動画は消せない」と嘆く男子生徒。「将来、『動画を持っているぞ』と脅されないか」。底知れぬ不安に、今もおびえている。
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