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自民2派閥に強制捜査 不正の構図 徹底解明急務 | 政治・行政 | 論説 - 福井新聞

2023年12月20日 午前7時30分

 【論説】自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で東京地検特捜部が政治資金規正法違反(不記載など)の容疑で、安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の事務所を家宅捜索した。派閥の「政治とカネ」の闇に強制捜査のメスが入った形だ。

 安倍派に関しては、公訴時効に至っていない最近5年分だけでも、政治資金パーティーの収入から5億円規模が議員側にキックバック(還流)され、裏金になったとみられている。収入と還流金支出がいずれも記載されていないことから悪質性があり、不記載額は収支合わせて10億円に上るとされる。巨額の規正法違反容疑と言わざるを得ない。還流を受けたのは100人弱の所属議員のうち数十人とされ、還流額が5千万円を超える議員もいた。

 規正法は政治団体の会計責任者に収支報告書の提出義務を課しており、刑事責任がまず検討されるのは会計責任者だ。特捜部は事情聴取した安倍派の会計責任者の供述や還流議員リストなどの資料で、容疑をある程度裏付けたようだ。さらなる捜索による押収資料を分析した上で、聴取対象を拡大すれば、中枢幹部の関与も明らかになろう。

 議員秘書からの聴取で還流分について、「派閥から(収支報告書に)記載しなくていいと指示された」との供述がなされたとされ、議員本人の同様の証言もある。事務職員である会計責任者の独断とは到底考えられない。捜査で派閥内の意思決定の経緯や指揮命令系統を明確にする必要があるだろう。安倍派には福井県選出の国会議員4人全員が所属しており、関与の度合いが気になる県民も少なくないはずだ。

 とりわけ、辞表を提出した高木毅前国対委員長は実務を取り仕切る現事務総長であり、松野博一前官房長官ら歴代事務総長の関与も焦点になろう。安倍派がいつから、なぜ、こうした取り扱いを始めたのかも特定すべきだ。故人ではあるが安倍晋三元首相、細田博之前衆院議長ら歴代会長の役割も明らかにしなければならない。

 二階派でも5年間で億単位のパーティー券収入が不記載だったとの疑いが持たれている。還流分は派閥側支出と議員側収入に記載されているというが、会計責任者は聴取に不記載を認めているもようだ。

 疑惑表面化から約3週間がたっても党や派閥に調査の動きは見られず自浄能力に期待できない以上、特捜部による派閥中枢幹部の関与の有無など不正の構図の徹底解明が急務だ。うみを出し切らなければ、規正法改正など抜本改革は進まない。政治改革につなげるためにも、特捜部は捜査結果を最大限公表すべきだ。

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